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平成13年9月9日(日)〜16日(日)の8日間、視察でドイツに訪れました。その時の模様をレポートと写真で綴って参ります。

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●視察レポート


ドイツの中小企業について

平成13104

上原 新

第二次世界大戦の敗戦国のドイツは、日本と同じように復興をはたした経済の先進国です。東西ドイツ統合・EUヨーロッパ連合などダイナミックな変貌を遂げようとしています。来年には、いよいよ、ユーロが流通して、ドイツマルクは退場するそうです。ドイツの失業率は9%、旧東ドイツの都市では17%の失業率のところも有ると聞きますが、ここ、バーテンビュルテンブルグ州の失業率は5%であるそうです。一般的に日本の経営者がドイツ経済について持つ印象は3週間に及ぶバカンス・30日間の年間有給休暇・病気休暇(病欠率4、3%)など高労働コスト下で経営が出来ることに対する驚きと憧れであります。ワークシェアリングが行われたり、ドイツの優良企業がドイツ以外のEU諸国に工場立地するケースが増えているのも事実のようです。CME中村総支配人の話の中で、“アウトプット”という言葉はキーワードでありました。教育を含めて技能レベルの高いドイツの労働者は、効率的の仕事をする習慣を身に付け、1日10時間以上働いてはいけないと言う決まりの中で、最大に効率的な労働を提供しているとの事でした。ドイツの地方分権にも見られるように、“画一”を嫌うドイツ人は“物まね”を嫌います。質実剛健で、独創的な経営資源を持つドイツ企業

が少なくない所以であると思います。環境問題への対応についても、コミュニティーの存在しない社会で個人レベルで責任を持って対応出来るドイツは環境先進国であります。その他、

日本と異質と言えば、“忙しくなったら納期を延ばす”“発注金額が多くなって見積り金額が上がる”など、到底日本では考えられない“考え方”が有るようです。“良い物は納期を掛けて、じっくり作る”と言うのもドイツ的“考え方”でしょう。

ドイツには“かんばん方式”が有るのでしょうか?中小企業の経営者にも1週間以上のバカンスは有るそうです。ドイツの中小企業は一般的に複数の親会社から受注を受けていて、親会社との間で計画発注が行われるのが一般的です。受注については長期展望が把握し易いと言っていました。陸続きと言う事も有って、EU内で比較的労働コストの安いスペインやポルトガルの中小企業に技術的なレベルの低い仕事を外注する場合もあると聞き驚きましたが、納期の点で日本ほどは厳しくないのかもしれません。ドイツでは“かんばん方式”はあまり一般的でないかもしれませんネ!日本と比べてドイツには“現テク企業”が元気に生き残っている印象を持ちました。そして、中小企業の経営者が誇りを持って仕事をしています。どのような背景からかは分かりませんが印象的です。訪問したファイス社の会長さん・社長さん共にマイスター(親方)で彼らも誇りを持って仕事をされておりました。昨年伺った切削油のクリ−ニング装置を作っているドイツの中小企業の社長さんも同じ感じがしました。

 日本の景気の現状は厳しく、国策の失敗と言う感じもする今日この頃ですが、今回のドイツ視察で見聞きした事をどうにか自社のビジネスプランとして役立てたいと思います。たとえば、ドイツの中小企業がポルトガル・スペインに外注する姿を聞いて、いまの日本国内の経済状況であれば、日本の同業者の設備であっても利用できるのではないかなどと考えました。日本では“量”のある仕事は益々減っていくと思います。ドイツのように独創的なやり方は日本の見習うべき方向で有ると思います。より開発系の会社と取引することが重要なポイントで有ります。量産ではなく、試作・小ロットの対応強化は言われて久しいですが、より川上で受注して、川下まで一括で受注出来るようになりたいものです。ドイツ滞在中にアメリカで同時多発テロが発生して驚きました。その影響で景気は厳しさを増すと言われています。
 目を瞑ると素晴らしいドイツの街並みが蘇ります。頑張りましょう。

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