講 師:八十二銀行香港支店 久保田支店長
八十二銀行香港支店 小 沢課長
八十二亜洲有限公司 依 田社長
1.八十二銀行香港拠点について
現在日本人スタッフ7名、ローカルスタッフ8名で運営中
業務内容は銀行業務、証券業務(別会社:八十二亜洲有限公司)、進出企業の支援業務。
現状は進出企業の支援業務が中心となっている。(業務の約9割)
香港に進出している日本の地方銀行50行のうち、日系進出企業との取引の質量はダントツである。
(それだけ長野県の企業が香港で活躍しているということ?または空洞化が進んでいる?)
2.長野県の企業の進出状況(香港、中国華南地区)
長野県からの進出企業数はこの3年間で4倍に増えている。このうち諏訪地方の企業の割合が6
〜7割を占める。「香港支店は、八十二銀行諏訪支店の出張所みたいなものです。」
当初は、セイコーエプソン、三協精機、オリンパスなどの大手企業が安い人件費を求めて組立部
門を移管(部品はノックダウンとして日本から調達)してきた。現在は、これら大手メーカーの
要請によって中小パーツメーカーがかなり進出してきており、香港はセットメーカーの部品調達
拠点として機能が強い。一方、中国も人件費が高騰しており、組立企業はさらに安い人件費を求
めて奥地へと展開しつつある。その点長野県の産業は生産管理の技術に特徴があり、比較的どこ
へでも展開しやすいので、今後大手セットメーカーの要請でさらに奥地への展開が進むのではな
いか。
3.香港の地域特性について
中国本土との決定的な違い−イギリス統治によるインフラの整備が進んでいること。特に、ソフ
トウエアにあたる部分。
<例>
すなわち、香港は「顧客サービスになれば(お互いメリットになれば)それでよい。」という考
え方のもと、極めて合理的な社会システムが完成されており、こうしたソフトウエア的な部分の
違いで、他の中国の都市(上海など)が香港に追いつくことは当面(10年くらいは)無理だろう。
従って、これからも香港は対中ビジネスの拠点的役割を担い続けるのではないか。
4.まとめ
八十二銀行香港支店さんは香港島のセントラル地区(いわゆるビジネス街)の高層ビルの中にオ
フィスを構え、まさに香港・中国ビジネスの最前線の中で活動をされているという印象を受けた。
オフィスから眼下に見える港湾地区の埋め立て工事の光景が現在の同地区の経済活動の勢いを物
語っているようであった。最後に久保田支店長の「海外へ出る、出ないは別としてこれからは海
外となんらかの関わりを持っていかざるを得ないだろう。ソニー等大手セットメーカーは研究開
発部門が海外に進出してきている。すでに、日本の諏訪や佐久、伊那と同じものがここにあると
考えてもさしつかえないだろう。」という言葉が大変印象的であった。
5.番外編
香港支店でのレクチャーのあと、八十二銀行さんに香港バンカーズクラブという所へ夕食をご招
待いただきました。ここは要は香港の銀行協会のようなところだそうで、いわゆるメンバー制に
なっており、こんな機会でもなければ私たちなどはとうてい足を踏み入れることのない場所でし
た。
次々と出てくる高級中華料理(これはほんとにうまかった。多分この研修旅行の中でも一番おい
しかったと思います。)と香港の夜景に舌鼓をうちながら、紹興酒も入ってしっかり香港初日の
夜を満喫させていただきました。これは余談ですが、香港の中華料理の高級食材はなんと日本産
が多いのだそうです。この日の料理も「このフカヒレは三陸産ですよ。」とか「このホタテは北
海道産。」といった具合で、「こんなところにもボーダーレスが進んでいるのだなあ。」と妙に
感心してしてしまいました。また、値段も日本より安いとのこと。こういった所にも日本産業の
今後の危機が感じられました。
八十二銀行香港支店のみなさんお忙しい中本当にありがとうございました。